みなさん、こんにちはマリアです。
早速後編のはじまりです。前篇をまだ読んでいない読者の方は、ぜひそちらもご一読くださいね。
PCR検査を巡る大冒険
日本政府が定めた72時前PCR検査の定義とは
私は日本政府が定めた72時前PCR検査の定義がわからぬまま、台北市立の大病院でPCR検査の順番待ちをしていました。
待っている間やることがなかったので、スマホを見ながら今後の予定を確認していると、予約していた航空会社の台湾事務所からメールが来ている事に気づきました。
よく見ると金曜の夜に返事をもらっていました。
私は月曜の14時台の飛行機を予約してたのですが、72時間前PCR検査の定義は果たしておおよそ72時間前(3日前)なのでしょうか、それとも例えば月曜の14:15の搭乗ならば土曜の14:15以降の検査でなければならないのでしょうか。
後者であれば、私は予約を取りなおさなければいけません。
その返事は次のようなものでした。
私は午前中のPCR検査を予定していましたが、日本政府の規定では、だいたい72時間ではなく、きっちりと、72時間以内ではない事がはっきりしました。
航空券を予約した時の自動返信メールにも、
検査証明書の不備、不所持の場合、検疫法により日本に上陸が認められない事例が発生しております。有効な検査証明書を所持されていないお客様は搭乗をお断りさせて頂きますのでご注意ください。
と書いてあった事を思い出しました。
これはもうフライトを諦めるしかないかも知れない。
そんな考えが頭の中をよぎりました。
PCR検査を受けられる人
市中感染という言葉を政府が使い、PCR検査を希望する人たちで検査場には長い行列が出来るようになったので、証明書を出せる大病院での検査は、ほとんどの病院で予約が必要になりました。
検査を受けられる人は、陽性の疑いのある人と、濃厚接触者と、出国の為に証明書が必要な人などで、誰でもすぐに検査できる訳ではないのです。
気になる費用ですが、私のように、出国のための検査は自費扱いで、日本円で最低でも1~2万円ほどの準備をしておく必要があります。
出国できなかったらどうしよう?と、頭の中で考えているうちに、私の番号が呼ばれ、PCR検査費用を払う順番が来ました。
でも、例え午前中に検査を受けたとしても、出国は出来ない事がハッキリしたので、この手続きをキャンセルしなければなりません。
検査を受ける前にわかっただけでも、良かったのかも知れません。
検査が終わった後に判明していたら、二重に検査料金を支払う事になっていたのですから。
2万~4万。これは結構な出費です。
受付に行くと、係の女性に「だいたい3日ではなく、きっちり72時間以内でないといけない」という事を説明し、午後の予約に変えたいと申し出ました。
すると、
「土曜は午前診療のみです。」
という答えが、返って来てしまいました。
この時期、PCR検査は大きな市立病院や私立病院など、ごく限られた規模の、大きな所でしかやってもらえません。病院によっては何日も前から予約しなければならないのです。
他の市立病院でやってくれる所があればと藁にもすがる気持ちで尋ねましたが、どこも同じで、土曜は午前診療のみという事でした。
月曜のフライトがあるのに、他の乗客は、いったいどこでPCR検査を受けているのでしょうか。
飛行機は飛んでいるのに、搭乗できない。
そんな事が現実に、あり得るのでしょうか。
仕方がないので受付の人にキャンセルを申し出て、とにかく、この時期の病院には1分も長くいたくなかったので、病院の外に出ました。
真夏の照り付ける太陽から逃れる為に一旦MRT駅に立ち寄り、そこの冷房でで涼みながら、検査をしてくれる病院をスマホで探します。
地元台湾人でも知らない事がある
スマホで病院を探しつつ、航空会社の人にもメールで「どこか検査出来る病院があれば教えて下さい」と送りました。
何軒も電話をしていると、13時までなら受付しているから来てと言って下さった私立病院を見つけました。
嬉しくて、大急ぎで電車に乗って、その病院に着きましたが、検査受付の場所には人が居ないし、様子が変です。
いつもなら待合室に人がいたり、誰か話を聞ける人がいるはずなのに、警備員さんしか見当たりません。
PCR検査で来たのですがと話しかけますが「午前中で終わりだよ」と言われるだけ。
電話で13時までに来たら検査してくれると言われたと説明しますが「もう終わってるよ。その人に電話で聞いてみなよ」と、取り合ってもらえません。
仕方なく、さっきMRTで掛けた番号に電話して聞いてみると「着いた?もう午前の診療終わりにするところなんだけど、どこにいるの?」と逆に聞かれる始末で……。
話が嚙み合わず、よくよく住所を確認してみると、
同じ名前の市立病院が台北市と新北市にあって、私は台北市の方しか行ったことがなかったので、そちらに行ってしまっていたのでした。
台北の病院から、電話した新北のその病院までは、恐らくMRTとバスを乗り継いでいかなければ辿り着けないと思うのです。時間にして1時間以上かかりそうです。
ずっと待ってくれていたという電話の向こうの女性に謝って、その予約もキャンセルとなりました。
仕方なく、病院の敷地を出て、さっき来た道を戻り、またMRT駅構内で体調を整えます。
そして、ふとメールチェックすると、航空会社から返事が来ていました。
この市立病院Aなら当日検査して、その日のうちに証明書を受け取れますよというお知らせでした。
その病院の名前に私は見覚えがあります。
そう、その病院は、2月に帰国した日本人のお友達が教えてくれた所で、2月の時点では確かにそういう事もやっていましたが、私が数日前に病院の公式サイトを見た限りでは、その情報は、もうなくなっていて、電話でも出来ない事を確認済みでした。
ですが、大手航空会社の人がそう書いてくるぐらいなのだから、もしかしたら、この間電話で聞いた人が知らなかっただけなのかも?とも、思いました。
実際に台湾では、窓口の人が変わるとAさんは知っているけど、Bさんは知らないという事が、時々あるのです。
だからと言って、航空会社の人の情報を100%信じている訳ではありませんが、とにかく確認した方が良さそうです。
その場で電話で聞いてると、やはり、数日前に聞いた話と変わっていなくて、航空会社の人の持っていた情報が古い事が決定づけられました。
地元の人に聞いたのに、こんな事があるのですね。
海外に行ったら自分の事は自分で。すべて自己責任なのです。
そうやって、私はこの6年を過ごして来ました。
ついに条件に合う病院を見つけた
帰国しようと思う!そう言ったとき、友人・知人から掛けられた言葉が頭をよぎります。
- 飛行機飛んでる?良く調べてからにしないとダメだよ。
- PCR検査の予約はどうするの?やってる所、ちゃんと調べなきゃダメだよ。
- 日本の感染者数あんなに増えてるのに、ほんとうに、いま帰国する気?
- 台湾にいた方が良くない?そんなに日本がいい?
家族でさえも「いま日本は大変だから、無理して帰って来なくても大丈夫だよ」と言っていました。
それでも、いま帰らなかったら、ずっとずっと理由を作っては、また何年も帰国できなくなるのではないかと思ったので、なんとしてでも日本に帰りたい!と思いました。
その必死な思いでMRT構内で、相変わらず検索を続けていると、土曜の午後も開いていて、16時最終受付、検査は17時まで。そして特急料金を払えば日曜に検査結果がもらえるという、すごい病院を見つけました。
ですが、今日はここまで想定外の事が続いています。
もしかしたらサイトの情報が変更になっているかも知れません。
念には念を入れて、電話をしてみます。
フライト時間や、72時間前でなければ出国できない事も含めて条件を確認をすると、
今日の16時迄に最終受付を行えば、明日結果を受け取れますよ。という答えが返って来ました!
ついに、ついに、日本政府の条件に合う証明書を発行してくれる病院を見つけました!!
ひと安心したこのとき、時間は14時でした。
持参する書類はさっきの病院と同じなので、既に準備万端です。
朝から何も食べていなかったのでお腹も空いたし、駅の近くにはガイドブックにも載る有名な廟もあるので、そのまま電車には乗らず、いったん駅の外に出て、お昼を食べて、そして次はいつ来られるかわからないので、その廟にお参りをしてから、病院に向かう事に決めました。
駅を出て少し歩いていると、誰かから電話が掛かって来ました。
誰だろうと思って出ると、13時まで診察時間を延長して待ってくれていた新北市の、あの大病院の方からでした。
どうしたのかと思って耳を傾けると、
「本当は午前中で終わりなんだけど、16時過ぎでなければ検査結果が有効にならないんでしょう?
15時まで待っていてあげるから、15時に受付済ませて、時間に検査受けたらどうかしら?
今からタクシーで来られる?」という嬉しい、嬉しいお申し出がありました。
でも、その病院の場所は地理的にあまり馴染みがなく、電話を受けた場所からタクシーで15時までに間に合うかもわかりません。
そうかといって、MRTとバスを乗り継いだら、確実に間に合わないでしょう。
こんな見ず知らずの日本人の為に調整をして下さって、二つ返事ですぐにでも向かいたいと思いましたが、ここでまた時間に間に合わないと相手にも迷惑を掛けてしまいますし、それよりも確実に間に合う場所にある病院に行く方が賢明と思ったので、その事を隠さずお話しました。
すると電話の向こうの女性は、とても優しく「そうなのね。大丈夫なのね?検査してくれる病院が見つかったのなら、良かったわ。」と言って下さいました。
市立病院の方なので、ふつうに考えると、私立や開業している所と比べて、規則や決まりごとがあるはずだと思うのです。
それなのに、この方や、きっとこの方の周りのスタッフの方も、自分の事のように考えて下さり、調整しようとして下さったのだと考えたら、本当に嬉しくて、心から感謝しました。
この記事は完結編へとつづきます。