台湾で人生初のインフルエンザにかかった話

台湾と医療

 

日本でもかかった事のないインフルエンザに台湾でかかりました。
それ以前と以後のウイルス対策を書いた記事はこちらです。

私の子供時代

私は子供の頃は身体が弱かったので、母に連れられて、よく、小さな病院から大きな病院まで、いろいろ行っていました。

 

あんまりしょっちゅう具合が悪くなるので、お祖母ちゃんからは、「病気のデパート」といわれた程でした。

 

あるとき母から、病院はおおぜいの患者さんが来るところなので、家に帰ったらすぐに石鹸で手を洗うようにと説明されました。

 

その時の衝撃が脳裏に残ったのでしょう。

私は病院に行った後、人混みに出た後、家でトイレに入った後も、必ず石鹸で手を洗う子供になりました。

 

インフルエンザに罹ったことがなかった

同級生や親戚、母親からも、トイレを出た後必ず石鹸で手を洗う私に対し、待つのが大変とか、トイレが遅いとか言われ続けたものです。

 

それでも病気になるよりはマシと、マイペースで毎回石鹸で手を洗い続ける生活をしています。

毎年いろいろな所からインフルエンザのワクチンの接種をしましょうとお知らせが来ますが、私の場合、子どもの頃に卵アレルギーがあったので、怖くて一度も摂取したことがありません。

 

ですが、その甲斐あってか、一度もインフルエンザにだけはかかった事がありませんでした。

 

これ、ちょっとした自慢なんです。

 

成人してから随分と経ち、身体も丈夫になったので、親の心配をよそに単身台湾へ渡りました。

 

それは不特定多数の人が集まる場所で起こった

台湾で暮らし始めてから一年と数カ月たったある土曜日の朝、私は台湾で実施される中国語検定を受けに某国立大学の試験会場に行きました。

 

試験は大学のパソコン室にあるものを使って行われます。

 

試験が終わってから、台北市内の某大学の図書館のパソコン室に行ってパソコンで映画を見たりして遊んでいて数時間たった頃、急にクシャミが出だして、止まらなくなりました。

 

夕方になり、当時付き合っていた大学院生の相方がいたので、いつものようにバイクで家まで送ってもらったのですが、その夜から朝まで、鼻水が止まる事はありませんでした。

 

その様は、まるで壊れた水道の蛇口からポタポタ落ちてくる水のようで、ティッシュで鼻を塞いでも一向に止まりませんでした。

 

眠れないので夜中に家のパソコンで調べた鼻水が止まるツボを押してみたりしましたが、全然効き目がありませんでした。

 

症状から急性鼻炎だとばかり思っていたので、このまま放っておいて良いものか更に調べると、悪化すると副鼻腔炎になると書いてあったので、朝になったら病院へ行って鼻水を止めてもらう事に決めました。

 

当時の私はまだ台湾の保険証も持っていなかったし、日曜日だったので、治療費がいったいいくらになるかわかりませんでしたが、寝不足で頭も痛いし、副鼻腔炎になって鼻から変なにおいがする事の方が怖くて、朝早く、鼻にティッシュをつめてその上からマスクをして、近所にあった大きめの病院へ少しフラフラしながら行きました。

 

その病院は日曜日だというのに、運よく開いていました。

 

症状を伝えると、お医者様から念のためインフルエンザの検査をしますと説明され、人生初のインフルエンザ検査をされました。

 

鼻水が止まらないだけなのに、何て大げさなと思いましたし、頭が痛いので早く何とかして欲しかったのに、日曜で人気のない待合室で20分ほど待たされ、ものすごく辛い時間を過ごした気持ちになりました。

 

しばらく待たされてから再び診察室に呼ばれて入ると、先生からまさかの「インフルエンザA型」と告げられました。

 

寝不足も手伝ってボーっとした頭で先生に「日本では今まで一度もインフルエンザに罹った事ないんですよ。やだ、怖い!!誰から罹ったんですか?!」と詰め寄ると、「台湾人からだね。台湾じゃいまA型流行ってるから」とあっさり言われました。

 

それでも不思議なもので、原因がわかると少しはホッとして、会計をした後、タミフルなどの薬を受け取ると、フラフラした足で家に帰る途中にあった薬局で替えに使うための箱入りマスクを買ってから、コンビニで温めるだけのお粥を買って家に戻りました。

 

感染経路はどこなのか?

よくよく思い返してみると、中国語テストのときに大勢の外国人が集まっていました。

その後、某大学の図書館に行って、不特定多数の人が使うパソコンも使いました。

 

当時の私は語学学校に通う生徒でしたが、通学は付き合っていた相方が送り迎えしてくれていたので、公共交通機関を利用する事はほとんどありませんでした。

 

自分なりに考えてみると、感染経路としては、元相方と一緒に図書館や大学へ行っては、不特定多数の人が使うパソコンを使った時の可能性が高いのではないかと思います。

 

 

恐らく、パソコンを使っているうちに、無意識のうちにその手で目や鼻や口に触っていたのだと思います。

 

大学に入ってから「幼児の健康と安全」という幼児期にかかり易い疾患や病気に対する注意事項やすべき事を学ぶ授業を受けましたが、看護師でもある先生が講義中に、感染症の予防のひとつとして、手で顔を触らない事が重要だと繰り返し言っていました。

 

病気でも一緒に居たがる国民性?

当時の相方は大学院生で、朝早く私の家まで迎えに来てくれて、私を語学学校でおろしてから自分は大学へ通っていました。

 

そして大学院の授業や助手の仕事が終わると、また私を迎えに来て、一緒に夕飯を食べて家に送ってくれるのが当たり前になっていました。

 

お休みの日で授業がなくても欠かさず会いに来てくれていた彼で、とても感謝していました。

 

そんな相方と会えないのは寂しかったですが、お医者様に聞くと一週間は外出を控えた方が良いと言われましたし、人生初タミフルも出ていたので、周りの人にうつしたくない一心で、1週間の間、人と会わない事に決めました。

 

あまり食欲はありませんでしたが、体力が消耗するといけないので、食事を求めて、その時だけはマスクをして、近所のコンビニへ行ってさっとまとめ買いをして、部屋に籠る生活をして何日か過ごしました。

 

相方の方は私の体調が心配だったのか、隠れてこそこそ浮気でもされたらと思っていたのか、今となっては永遠の謎ですが、「心配だから家に行く」とか、「何か食べたいものはないか」などと連絡をくれたものです。

 

私はそのたびに、「うつすと悪いから」と言って、家に来るのを必死に断っていたのですが、自分は具合が悪くも何ともないし大丈夫だとか、薬を飲んでいるのに症状が変わらないなんて、その医者は大丈夫なのか?とか、私が病院に払った治療費を聞いてそんな金額、今まで一度も聞いたことない。高すぎる!一人で勝手に病院に行くからだ!などと、怒っていました。

 

それから半年ぐらいして、語学学校で受ける事になったある日の授業のテーマが「台湾人と外国人の恋愛とその違い」というものでした。

 

ディスカッションの授業で、先生が私たちに意見を求めて来たので、私はみんなの前で元相方とのエピソードを披露しました。

 

先生は、「最近の若い台湾人男性には、常に連絡をとっていないと嫌だという恋愛傾向がある」と、教えてくれました。私もこの意見には同感です。

 

咳をしていても病院に行きたがらない人たち

日本でも健康に自信がある人はそうだと思いますが、元相方も、その他の友人たちも、若くて健康に自信があるので、具合が悪い所をあまり見たことがありません。

 

それでも頻繁に接していると、たまに咳をしている時があるので、心配して「咳してるね。大丈夫?」と聞くと、ほぼ決まって帰って来る答えが「大丈夫。今日の風向きがどったらこったらで、中国大陸から汚れた物が飛んできているから、そのせい。」なのです。

 

だいたい冬に多いのですが、空気の流れが変わって、中国側からPM2.5などが流れてくるので、咳をする人は多いようです。

 

その一方で、台湾の女性は漢方医学の観点から冷たいものを飲まない人が多いです。

 

そして信じられているのが、具合が悪い時はお湯を何杯も飲むという治療法です。

 

日本でもコーヒーをたくさん飲む人は風邪をひかないと言う話がありますが、このお湯をたくさん飲むというのも同じ原理で、水分をたくさん撮り、体内に入ったウイルスをトイレで排出するという発想なのだと思います。

 

台湾の気候に身体がついていけない時がよくあるのですが、そんな時に具合が悪いというと台湾の女性から言われる言葉は「お湯を沢山飲んで!」なのです。

 

そんな状況ですので、大学内やカフェなどの人混みで咳をしている人がいても、空気が悪いからなのか、風邪なのか、ぱっと見では判断がつきません。

 

それでも明らかに具合が悪そうに、延々と咳をしていたり、鼻を大量にかんでいる人は風邪です。

 

大学の同級生でも、毎学期に数人、2~3週間ぐらい咳をずっとしている子がたりします。

 

見るに見かねて、ずっと咳してるけど大丈夫?辛くない?病院行った?と聞くと、「前に2回ぐらい行ったけど、今は咳が残ってるだけだから、病院かなくてヘーキ」と言われることが多いです。

 

台湾の人は咳は病気と思わないのか、咳だけだと病院に行かない人が多いのかな?と個人的な経験ですが、そう感じます。

 

日本だと、咳が続いていると結核か何か悪い病気かと嫌がられる事も多いし、辛いので、町の病院へ行っても咳がとまらなければ、心配になって大きめの病院へ行って検査を希望する人が多いのではないかと思うのですが、どうでしょうか。

 

インフルエンザでも仕事をする人

私の友人でショップ店長をしている子がいます。

 

彼女は学費を自分で捻出していたため、ショップを休むことはしたくなかったのでしょう。

 

何かの時に彼女とタミフルの話になったのですが、「タミフル飲むと大変だよね。私もいついつインフルエンザに罹ったんだけど、あの時はタミフルを飲みながら仕事してて辛かったよ」と言われました。

 

友人は私よりもずっと年下ですが、肝が据わっていて、困っている人は率先して助ける人情があって、皆から慕われている良い子です。

 

私もこのお友達には随分と良くしてもらいました。

 

お友達がインフルエンザを患っていたとき、私も長時間よくそのお店に出入りしていたので、お友達の体調が悪かった日があった事をふと思い出しました。

 

後から考えると、あの時だったのかと思う日があったのですが、まさかインフルエンザだったとは思いもしませんでした。

 

もうこうなってくると、私のインフルエンザA型は、誰から感染したのかさっぱりわからなくなりました。

 

日本人でも、インフルエンザでタミフル飲んでるのに仕事休まない人って、いるんでしょうか?

 

私がとっている対策

大学にはたくさんの生徒が来ます。

 

台湾では図書館や大学のパソコンコーナーにパソコンを置いていますし、授業データを印刷する印刷屋さんに置いているパソコンを借りてデータを印刷する事がよくあります。

 

台湾で人生で初めてインフルエンザに罹った経験から、不特定多数の人が使用するパソコンを使うのが怖くなりました。

 

日本にいた時は、外出中や家に戻ったら手洗いうがいを徹底していたのですが、これはさすがに盲点でした。

 

以来、印刷屋さんのパソコンではさすがにやりませんが、図書館や大学のパソコン室では、キーボードとマウスを持参したアルコールで消毒してから使う習慣がつきました。

 

また、アルコール消毒液を忘れてしまった時や、印刷屋さんのパソコンを使った後は、時間が許す限り、比較的早い段階で、清潔で石鹸が備え付けてあるお手洗いに行って、よく手を洗ってから持参のハンドクリームを付けるようにしています。

 

周りを見ていると、他にそこまでしている人はいないようで、内心とっても恥ずかしいのですが、祖国を離れ暮らしている身としては、自分の健康を守る事も大切なので、このようにしています。

 

日本へ帰った時でも、他の人から見たらちょっと神経質すぎない?と思われているようですが、手洗いと消毒は相変わらず徹底しています。

 

また台湾では手を洗う所に石鹸を置いていない所がまだまだ多いので、携帯用のシャンプーの入れ物を再利用して、石鹸を持ち歩くよう心がけています。

 

最後に、花粉などの空気汚染に弱い私としては、マスクはもちろん外出時の必須アイテムです。

 

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