台北市長柯文哲氏はこんな人~彼のおかげで台北は快適になった

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Photo by zhenghu feng

今日はずっと取り上げたかった、台北市長の柯文哲氏についてご紹介します。

さて早速ですが、台湾好きなあなたも、そうでないあなたも、今の台湾市長のフルネームを言えますか?

台湾初の女性総統の名前は言えても、台北市長の名前はいえないという人も多いのではないでしょうか?

 

台北市長の名前知ってる?

 

台湾の人たちから、くーピーと呼ばれ親しまれている台北市長の柯文哲氏。

柯P(くーピー)は、柯PやKPと表記する事が出来ます。

 

台北市長の前はなにやってたの?

 

柯文哲氏が政治家になる前は、台湾最高峰の大学、台湾大学の付属病院である、台大醫院で教鞭をふるっていました。

柯文哲氏はたくさんの生徒を指導してきた経験豊富な教授のうちの1人だったのです。

 

台大醫院で教鞭をふるうぐらいですから、彼は医学に対して素人な訳がありませんよね。

察しの良い方はもうお気づきでしょう。彼はお医者様なのです。

 

柯文哲氏の学歴

台北市長の柯文哲氏の学歴は、台湾最高峰の大学である国立台湾大学医学部卒で、最終学歴は国立台湾大学医学院臨床医学研究博士卒業です。

 

日本であえて例えるのならば、東京大学医学部卒の、東京大学大学院医学系研究科博士卒業といったところでしょうか。

 

柯文哲氏のキャリア

柯文哲台北市長の以前のキャリアは、国立台湾大学医学院附属病院急診部医師であり、台大醫院創傷医学部主任であり、台大医学院教授でもありました。

 

また外科重症医学専門医であり、臓器移植、人工臓器も専門で、台湾の急診および集中治療専門医であると共に、台湾標準臓器移植法の創始者であり、ECMOの技術を台湾の医師達に導入した人物とも言われています。

 

医師である以外にも多くの著書を持つ作家としても知られています。

 

柯P(くーピー)の由来

さて、ここでくーピーと呼ばれる由来が気になりませんか?

お医者様ならくーディー(ドクターのD)じゃないの?

 

私も随分と悩みました、なぜPなのか?

このPは、台湾大学で教鞭をとっていた教授時代に、学生たちから付けられたニックネームで、教授の英語であるProfessorのPをとったものだったのです。

 

柯Professorが柯Pになったという訳です。

 

もちろん台湾大学の生徒でなくても、柯P(くーピー)といえば、台湾の人なら誰もが彼の事だと知っています。

 

ところで柯P(くーピー)他にもニックネームあるの知っていますか?

阿北とか、阿伯と呼ばれる事もあります。

 

台湾の人って、初対面の人でも日本人がいう「おじさん」という親しみを込めた感覚で阿北とか、阿伯って言うんです。

 

あれだけすごいキャリアを持っている人を「おじさん」扱いするなんて、きっと台湾の人たちから愛されているのでしょうね。

 

台北市長のプロフィール

 

柯文哲 日本語読み:か ぶんてつ 中国語読み: Kē WénZhé

生年月日 1959年8月6日

出身 中華民国新竹県新竹市

 

政党 2019年8月5日以前は無所属でしたが、自身の手で2019年8月6日から台灣民眾黨を立ち上げました。日本語では台湾民衆党となります。

 

蔡英文総統率いる民主党と似た名前ですが、あちらの正式名称は民主進步黨で、日本語でいうと民主進歩党となります。

台北市長何年やってるの?

 

柯P(くーピー)は2014年12月に初当選し、今は市長になって2回目です。

 

就任日期 2014年12月25日~(任期4年)

就任日期 2019年8月6日~(任期4年)

 

台湾の現在の制度では連続2回までしか続けて市長を出来ない事になっているので、今回の任期4年を終了したら他でお仕事するしかないのでしょうね。双台北(台北市と新北市)に住んでいる者としては、柯P(くーピー)にとても期待しているのですごく残念です。この先どちらで政治家活動されるのでしょうか。

 

双台北に6年間住んで肌身で感じた台北市の変化

 

私は2015年の初夏に台湾に単身で渡りました。

柯文哲氏が台北市長になられたのはその半年ほど前の2014年12月25日の事でした。

 

ですから私は柯文哲市長の改革を肌身で感じて来たと言って良いと思います。

 

私が台湾に来ていつも嫌だったことの一つにトイレットペーパーを流せないことがありました。

あれは未だに苦手です。夏になると特に獣臭がするんです。

 

それが変わったと実感したのは2017年ごろからでした。

まずは台北市立病院や台北市が運営するMRT(台北のマス・ラピッド・トランジット,地下鉄みたいなものです)のトイレでトイレットペーパーが流せる事に気づきました。

 

2018年には、当時の新北市市長だった朱立倫氏と、台北市市長柯文哲氏が共同記者会見を開き、双台北で30日間乗り放題となる定期券を発売する事を発表しました。

 

台湾にはそれまで定期券というものは存在しなかったので、これはとても画期的な事でした。

これは2018年4月16日日から正式に運用され、30日間1,280元で使い放題になる定期券です。

 

台北市の定期券に感動した理由

 

私はこの定期券が出来た時にとても感動しました。

一外国人ではありますが、これは柯文哲氏が台北市民を思って起こした改革に違いないと確信しました。

 

トイレットペーパーの件は悪臭もしますし、あれが流せないのは衛生環境上良い事はないと思うのです。それをまずは台北市自らが改革に取り組み、台北市が運営する場所では流せるようにした。

これは衛生に対する概念のある医師であり、柯文哲市長である彼にしか思いつかない事だと思いました。

 

私は台湾に住み始める前に旅行で二度台湾の友人を訪ねて来たことがありました。

 

部屋でテレビを見ていると頻繁に交通事故の悲しい広告が流れていました。

いつも流れるのは車とオートバイの悲しい結末の広告でした。

 

免許取った事ある人は見た事あると思います。
教習所や免許更新の時に見せられる系の、あの気持ちが暗くなる系の動画。

そんな感じのものがテレビコマーシャルで流れていたんですよ。

 

あんなの見たらしばらく外出るの怖くなります。

それが私が住み始めた頃から徐々に見かけなくなりました。

そしてついに定期券が出来た訳です。

 

台湾に来たばかりの頃、台湾の人たちになぜバイク通勤、バイク通学するのか聞いたことがあります。

台湾には定期券なんてないし、バイクの方が楽だし早いからというのが殆どの答えでした。

 

そしてあの広告。

 

きっと医師である柯文哲氏は、台北市民の事を思って定期券の運用に踏み切ったに違いない。そう思わずにはいられませんでした。

 

その話を日本語を教えている台湾人の人にしましたら、こんな話を教えてくれました。

 

2013年5月に起きた悲しい出来事

 

2013年5月、柯文哲氏の学生の一人、台大醫院急診部主治医師の曾御慈氏は、酒気帯び運転で赤信号に進入した車の販売員が運転する車によって、帰らぬ人となりました。その日、曾(ソウ)さんは台大醫院での当直明けでした。

 

彼女は、未来ある若い女性医師でした。

 

曾(ソウ)さんは、すぐに亞東病院に救急搬送され、柯文哲氏自身も教え子の為に救急指示の為に亞東病院に行きましたが、助ける事が出来ず、悲しみに暮れた様子がわかります。

 

同年5月31日の深夜、自身のフェイスブックにこうも書き記しています。

「子供よ、私を許してくれ。先生は出来る限りの事はしたんだ。だけど君を助ける事が出来なかった。」

 

柯文哲氏は同じような悲しいニュースを知る度に彼女の事を思い出しているようです。

2014年の12月に台北市長になってからはこの事件をきっかけに台湾飲酒運転防止社会福祉協会を設立し、飲酒運転の予防と治療に当たっています。

 

柯文哲氏の其他の貢献

 

大学で基礎的な医学の講義を受けた事があります。

担当の講師は台北市立病院の看護師でもある方で、伝染病の講義をしていた時に先生が柯文哲氏の話をされました。

 

台北市立病院では生まれて来た赤ちゃんを様々なウイルスから守る為、分娩後すぐにガラスの仕切りがあるスペースに移す事になっているそうです。

 

そのガラスの仕切りをすべての台北市立病院の分娩室に取り付けるよう指示したのは、他でもない柯文哲台北市長だと仰っていました。

 

お医者さんでもある柯文哲台北市長の改革を「さすが」だと、その先生は授業中に絶賛していました。

 

柯文哲氏が台北市長に立候補した理由

 

2011年、国立台湾大学病院で臓器移植を行った際、エイズ患者の臓器が移植されてしまったという事案がありました。この際柯文哲氏は臓器移植チームの議長というチームではトップの座にいました。

 

ただ当時の記事を読んでも複雑すぎて、責任が誰にあるのか素人の私にはまったくわかりません。

 

新竹にいた臓器提供者のエイズ検査結果は電話で「陽性」と伝えられたそうですが、電話を受けた台大醫院側はなぜか「陰性」と誤った記録をしていて、国立成功大学の病院にもそれが伝えられ、すべての移植者へのオペは完了したというものです。

 

この事件発覚後、柯文哲氏は議長を辞任し、この事がきっかけで台北市長に立候補しました。

 

臓器移植自体は1968年頃から台湾では行われていて、そのための制度が国で作られてきた事が、いろいろな記事を見ているとわかります。

 

ただこの制度自体検討する必要があると柯文哲氏は語っていて、氏の発言をそのまま翻訳すると、この制度は「安くて効果的だが安全ではない」と、語っています。

 

また後日談として、臓器移植を受けた5人は抗ウイルス薬を長期服用し、2014年8月までに感染の兆候は見られなかったそうです。

 

そのため、エイズ感染患者から臓器を提供または提供する可能性が台湾国内で議論されました。

 

 

柯P(くーピー)は奥様もお医者様

 

柯P(くーピー)こと柯文哲氏の奥様は陳佩琪(Chén PèiQí)さんです。

この方とは大学時代に知り合い結婚されました。

ですから奥様も国立台湾大学の生徒さんで、医学部を卒業されています。

 

専門領域は新生児科、一般小児科、小児神経内科、小児救急などです。

臺北市立聯合醫院和平婦幼院區の小児科主任と主治医でもあります。

 

柯文哲が市長になるまでのストーリーをまとめた動画がYoutube様のお勧めで出て来たので最後に追加しておきます。

 

動画のタイトルは台湾版半沢直樹?柯文哲市長のストーリーです。

前半は柯文哲氏がいかに優秀で、若くして出世し、ECMOを台湾に導入させた事で実際に命を救い、どれだけ台湾に貢献して来たかがまとめられていました。

 

中盤からは「エイズ感染患者から臓器移植事件」の、その全責任を柯文哲医師ただひとりが負う事になってしまった経緯を、同僚であり妻でもある陳佩琪氏が支える内容がまとめられています。

 

臓器移植は国立病院のチームで行われていて、病院には臓器移植チーム以外にも院長、副院長をはじめ多くの人が関係している訳ですが、この事件ではすべての責任を柯文哲氏ひとりが負い、辞職しています。

 

当時マスコミも大々的に取り上げていたようで、柯文哲氏が通りかかった所に記者や取材班が殺到しています。ただその中には、「柯文哲医師は多くの命を救って来た」と書いた物を持ち、彼を支持する人たちも柯医師を待ち構えていて、記者に声を掛けられた柯文哲氏が話している途中で感極まって涙を拭きながら話すシーンが出て来ます。

 

その溢れ出る人間味に、私も思わず涙腺が緩んでしまいました。

 

さらに柯文哲医師が海外出張中に訴えが起こされたため、本人は何も出来ずにいたところ、彼には知らせずに奥様は直ちに「同僚」としてまた「元同級生」として立ち上がり、お医者様らしく論理的に異を唱える姿も収められていました。

 

柯文哲氏は後になってこの事実を知る事となり、インタビューで当時の事を尋ねられると、また涙ぐまれていて、私ももらい泣きしてしまいました。

 

中国語がわかる方も、わからない方にも、柯文哲氏の人気とその人柄を垣間見ることが出来るこの動画をぜひ見ていただきたいと思います。

 

(サムネの柯Pはあくびか何かしている瞬間だと思われます。)

 

 

 

 

 

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