台湾のコロナの現状~後編~2021年6月14日

台湾安全情報

2021年6月14日台湾のコロナの現状~前編~ の続きです。

前の記事をまだ読まれていない方はぜひお読みください。

 

それでは、早速、日本からプレゼントされたワクチンがどうなったのかをお伝えしましょう。

 

日本からプレゼントしたワクチンの使われ方

 

ワクチン接種は6月12日から台湾全土ではじまりました。

しかもこれまでと違って無料で摂取できるのです。

 

ワクチン自体は日本政府から台湾政府に贈られたものなので、そこからさらに全自治体に分配されました。

 

ワクチンが届いたのが6月4日の午後でしたので、約1週間後の接種開始となりました。

 

日本から贈ったワクチンは足りたのか?

 

これは残念ながら台湾の人口から考えると絶対数が足りていないようです。

 

ただ足りないながらも貢献できたという意味では、悲観する必要はないと思います。

 

台湾でコロナの陽性者が多いのが首都台北市と、そこに隣接する新北市となっています。

 

これはおそらくどこの国でも同じ状況だと思います。

新型コロナウイルスは基本的に飛沫感染および接触感染といわれていますので、首都や大都市になるほど人口密度が多く、人と接触する機会も増える事になります。

 

これは台湾に限った事ではなく、日本に限った話でもないのです。

 

そんな台北市と新北市ですから、ワクチンを優先して摂取させてもらっても良いのではないかという意見も出ているようです。

 

記者会見では何度か台北市長にそういった質問がされました。

 

これに関し台北市長は、分配については政府に従うと発言しました。

 

 

ワクチン接種の対象年齢は行政によって異なる

 

日本から贈られた124万回分のアストラゼネカ製ワクチンですが、台湾政府によって新北市8.3万回分、高雄市8万回分、台北市および台中市は各7万回分などと分けられました。

 

さてこのように台北市で摂取できるワクチンは7万回分となりました。

 

そこで台北市は苦慮の上、接種対象者を以下のように決めました。

 

  • 85歳以上の年長者
  • 65歳以上の原住民の年長
  • 第一~第三類の未接種の医療従事者、介護施設者、透析センターなどの者

 

感染した場合、重症化のリスクが高いのは高齢者であると、医学博士でもある台北市長は言っています。

 

市長は海外の論文も見た上で総合的に判断しているそうです。

 

ワクチンの数には限りがありますから、まずここで85歳以上の年長者としたわけです。

 

 

原住民とはどういう人たちなのか

 

そして台湾では忘れてはならない、原住民という方たちがいます。

 

台湾の多くの方たちは、今の中国の前身の、ある地域からの移民なんです。

 

ですから、その前から台湾に住んでいた人たちの事をここ台湾では、原住民の方たちと呼んでいます。

 

この方たちと他の方たちの間には格差が広がっていて、教育や医療などケアすべき方たちも多いという統計が出ています。

 

ですから他の台湾の方たちの85歳と原住民の方の65歳とでは、健康状態も違う事が殆どなのです。

 

こういったデータも元にしながら、同じ台北市民として、ひとりでも多く健康でいてもらう努力を惜しまない台北市長は本当に素敵だと思います。

 

また接種が完了していない医療従事者や介護職の方たちにも優先的にワクチン接種できるよう配慮しているわけですね。

 

 

84歳以下の人への台北市長からの発言

 

台北市長の狙いは、まず人の流動を減らし、その間にワクチン接種を進め、重傷者を極力出さない計画です。

 

ですがワクチンの絶対数が足りない為、台湾では85歳以上の年長者を対象としました。

 

このことに対し台北市長柯文哲氏は、84歳以下の高齢者の方には申し訳ないと述べました。

 

これ以降のワクチンが、いつどこからどれだけ分配されるか、まったくわからないためです。

 

 

市民に寄り添う台北市長

 

さてこのワクチン接種ですが、インターネットを介してオンラインで予約する事になります。

 

ただ85歳以上の高齢者にこれが出来るかにも考慮し、市長は記者会見で、

「若者にお願いしたい。

ぜひお爺さんや、おじさんをサポートしてあげて下さい」

と言っています。

 

そして、どうしても予約の方法がわからない場合には、電話していただいて結構です。との事です。

 

またこの日本から贈ったワクチン接種が決まるより前に、何度も「なるべく人の移動や会食はしないで欲しい」とも伝えていました。

 

 

台北市長が薦める心温まるその方法とは

 

医学博士である台北市長は、人と会うのは避けて欲しいとしつつ、テレビ電話で頻繁に連絡を取り合う事を勧めています。

 

高齢者が心配になって会いに行きたくなるのはわかるけれど、今はとにかく会わないで欲しい。

 

けれどもテレビ電話は大いに推奨するというのです。

 

その理由として、テレビ電話だとお互いに様子がわかるという事を挙げていました。

 

顔色を見たり、様子を見る事が出来るので、健康状態が把握しやすい。

いつもと様子がおかしければ、その時は迷わず医療従事者に連絡したり、救急車を呼ぶなりして欲しい。

 

このような理由から、頻繁にテレビ電話で連絡をとる事をおススメしますとの事でした。

 

これを聞いて私も日本の家族と頻繁に連絡を取ろうと心に決めました。

もちろん電話ではなく、相手が嫌がってもテレビ電話にしてもらいます!!

 

 

何でネット予約だけなんですか?との問いへの答え

 

なぜワクチン予約はネット予約しか受け付けないのですか?との答えにこう答えています。

 

台北市の診療所は一日中ワクチン接種だけを行っている訳ではありません。

通常は患者さんの診察を行っています。

 

システムで予約をしてもらうことで、いつワクチン接種の方が来るかがわかり、診療所も準備をする事ができます。

 

ですから極力、予約した時間に行くようにしてください。

 

データについての補足

 

台湾CDCは台湾全土の陽性者数等を国民に広く伝えていますが、台北市長も台北市の陽性者(隔離者)や亡くなられた方の人数を発表しています。

 

私はある時から台湾CDCの記者会見も新北市長の記者会見も見なくなりました。

見るのは決まって台北市長の記者会見です。

 

なぜかというと、台北市長は医学博士としての視点もお持ちなので、そのフォローが入り、聞いていて毎回とても安心できるのです。

 

6月14日の会見でもお亡くなりになられた方の人数が発表されたのですが、その後にこう説明していました。

 

「亡くなられた方の数字だけを聞いて驚かないで下さい。

前にも説明していますが、この病は、通常感染して2~3週間後に発症します。

ですから、この数は2~3週間前に感染された方の状況です。」

 

それと同時に、陽性となられた方の人数についても、今年の5月14日は祝日なのですが、週末になると休日特有の心理状態が働いて、病院に行く人が増える事を説明されました。

 

そういった事から、ここ数日のPCR検査を受けに行った人のデータを見る際は、人数の偏りも考慮しなければならないので、数字だけ見てすぐに増えた減ったと断言する事は出来ないとおっしゃっていました。

 

裏話~台湾のワクチン接種対象は何歳まで?

 

台湾のCenters for Disease Control and Prevention: CDC(疾病管理予防センター)は、臨床試驗の結果をもとにアストラゼネカ (AZ1222)とモデルナ (mRNA-1273)のワクチン接種の適合年齢を18歳以上としています。

 

また、ファイザーとBioNTech (BNT162b2)のワクチンの適合年齢は16歳以上としています。

 

新型コロナウイルスのワクチンの子供を対象とした臨床試験は現在進行中のため資料に限りがあることから、慎重な政府は子供への接種は今のところ推奨しない方針です。

 

また、将来新しい検証結果が出た場合には、適用年齢を増やすとの事です。

 

台湾でもアストラゼネカ製ワクチンの副反応についてマスコミが取り上げた事もあり、ネットで見かける一部の若い世代の中には批判的な意見も見られます。

 

ただ台湾で先に認証され、4月から接種が開始されていたものがアストラゼネカ製だったという事実がありますので、今回の日本政府の対応は適切だったと判断して良いのではないかと個人的に思います。

 

そして、多くの方に喜んでいただいているのも事実です。

 

台湾にいる人々を守る主要人物の簡単な紹介

 

さて今回の記事の最後に、台湾にいる人を守る台湾の主要人物の紹介をしたいと思います。

 

疾病管理予防センター大臣 陳時中氏

Photo byマリアの台湾ダイアリー

台湾CDCの陳時中大臣

 

まずは昨年から何かあると記者会見を開き説明をして下さっていたのが、台湾のCenters for Disease Control and Prevention: CDC(疾病管理予防センター)の部長さんで、陳時中氏です。

 

この方は 民主進步黨(民主進歩党)の党員で、台湾トップの蔡英文総統と同じ政党の方です。

臺北醫學大學 をご卒業された歯科医でもありました。

 

部長というのは日本でいう大臣クラスのポストで、この方は2017年2月7日より衛生福利部部長に就任され、昨年の新型コロナ以降、一躍時の人となりました。

 

台湾では唐鳳(オードリー・タン)さんよりも頻繁に見る顔で、オードリー・タンさんのデコレーションもあるにはありましたが、陳時中氏の方が人気度は高かったように思います。

 

陳時中氏が記者会見をしている姿をイラストにした3Dデコレーションをオフィスに飾っている所や、彼のイラストを町中でよく見かました。

 

それほど今年4月までの台湾のコロナの状況は比較的落ち着いていましたし、彼の記者会見の説明を見ると安心できたのだと思います。

 

新北市長 侯友宜氏

 

さて次にご紹介するのは新北市長の侯友宜氏です。

 

私が最初に新北市に住んでいた頃は中國國民黨(中国国民党)の朱立倫氏が市長だったのですが、台北に住んだりいろいろしている間に気が付いたら、侯友宜氏に代わられていました。

 

侯友宜氏は朱立倫氏が新北市長だった頃の副市長で、新北市の市長としては2018年12月25日から就任されています。

 

そしてこの方も中国国民党の方です。

新北市には中国国民党支持者の方が多いのですね。

 

侯友宜氏は中央警察大学防犯研究所で博士号を取得されている元刑事さんであり、警察学校の校長でもありました。

 

今回のコロナでは、台北市長と協力して事に当たられている市民優先のすばらしい市長さんだと思います。

 

そして最後はわたし一推しの台北市長のご紹介なのですが、そちらは過去記事台北市長柯文哲氏はこんな人~彼のおかげで台北は快適になったにまとめていますので、ぜひご一読ください。

 

 

 

 

 

 

本記事は各国の対策の良し悪しや、個々の政治家を評価する目的ではなく、他国の取組を極力冷静に知る事で、各自の生活に活かしていただきたいとの思いで書きました。
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