今日はマリアが勝手に推している台北市長柯文哲氏の記者会見の内容をメインにしながら、台湾のコロナの現状を日本のみなさまにどこの日本のメディアよりも早く、極力公平な視点から、事実のみお届けするようにしたいと思います。
休日返上で毎日開かれる記者会見
台湾では新型コロナの陽性者が出る度に記者会見を開いて来ました。
でもみなさんご存じの通り、4月中旬まで台湾は世界を代表する新型コロナ封じ込めの優等生でした。
ですから記者会見が毎日開かれるような事はありませんでした。
その状況が明らかに一転したのは5月中旬でした。
あれ以来、台湾のCenters for Disease Control and Prevention: CDC(疾病管理予防センター)は毎日記者会見を開くようになり、大都市であり市中感染がはじまってしまった台北市と新北市でも毎日記者会見が開かれるようになりました。
私は以前はずっと台湾CDCの記者会見を見ていました。
陽性者数が少なかったころは、どこでどのように感染したかなど詳細なデータを公表していたので、自分がそこに立ち寄ったかどうかを知る事で、陽性者の方には申し訳ないのですが、安心する材料とする事が出来ていました。
ところが感染経路不明のクラスターがあちこちで発生するようになった頃から、特に感染者数が多い地域に関しては行動履歴の追跡に労力を割く事を諦めたのか、台北と新北に関しての詳細なデータは公表されなくなりました。
ではCDCは何を言うのかというと、日本で報道されているのと同じように、今日は何人感染したとか、昨日の数字が間違えていたから修正入りまして正しくは何人ですとかいう内容になりました。
生中継の記者会見ですので、記者たちから今後どうするのでしょうかや、ワクチンはどうなっているのでしょうか等と質問が入りますが、CDCはデータを解析したり、予防を訴えかける事は出来ても、実際にワクチン購入等の決定をする権限はないので、彼らに答えようはありません。
そのうち、いま台湾で住所を置いている新北市の市長も会見を行っている事を知り、見るようになりました。
新北市も陽性者が増えて行ったので、新北市長さんは毎日記者会見を開いています。
こちらも生配信の記者会見で、新北市としての今後について何度も意見を求められました。
特に記者から何度も出たのは「市中感染やクラスターが広がっていますが、新北市はロックダウンしますか?」という質問でした。
この質問に新北市の市長である侯友宜氏はくり返し、
「新北市だけで対策を取る事はあり得ない。
新北市は台北市と一体となって事に当たらなければならない。
台北市長の柯文哲氏と相談して決める。」と発言しました。
この市長さん2018年からなられた方で、私は大学生活も忙しく人柄など全然わからなかったのですが、新北市長としてのプライドを変に出すことなく、台北市長の柯文哲氏とタッグを組むことを選ばれた事に拍手を送りたいと思いました。
それには、台北市と新北市の位置関係に深い理由があるからです。
台北市と新北市の地理に詳しくない方は、ぜひ意外と複雑?台北市と新北市の違いと位置関係の記事を文末に置きますので、ご一読ください。
台湾のコロナ対策を評価する立場にある人が見る場合、この位置関係は絶対に頭に入れて置かなければいけません。これを見ずに安易に評価する事だけは、やめてあげて欲しいと思います。
さて、私は新北市長の発言のおかげで、それならあの台北市長は何といっているのだろうと気になりだします。
そこでようやく、台北市長も毎日記者会見を開いている事に気づきます。
台北市長の経歴、人柄などは文末に置きます、柯文哲台北市長はこんな人~彼のおかげで台北はこんなに快適になったの記事を見ていただきたいのですが、簡単にいうとこの方、医学博士なのです。
2021年6月の台北の疾病率はどうなっているのか
結論からいいますと、昨日のデータを見る限り、台北市の疾病率は徐々に下がって来ているという事です。
台北市長の今日の記者会見で冒頭からこのように説明しました。
昨日のデータを見る限り、台北市の疾病率は徐々に下がって来ています。
ですが面倒な事に、徐々に新型コロナの流行場所(ホットスポット)から分散して行き、よくわからくなっています。
これは流行の場所がよくわからなくなっている事を示唆していると思います。
陽性者で自宅隔離となっていた人の人数も減って来ているとグラフを見せてお話されていました。
ここで注意しなければならないのは、仮に台北市と新北市では陽性者が下がっていても、他の行政地区でどうなっているかを見なければならない事です。
また今日は端午節という祝日でもありますので、この数日の人々の行動が台湾の未来を変えるのではないかとも思っています。
新型コロナで台北市と新北市が取った策とは?
店内での食事の禁止
5月24日から双台北(台北市と新北市)は、店内の飲食を全面禁止にしました。
台湾とえば夜市に屋台で有名ですが、お店での飲食が禁止となった訳です。
お店はどこも開いてますが、すべて持ち帰りか宅配のみとなっていて、違反した者には罰金が科せられます。
台湾の住宅にはキッチンがない物件が多く、賃貸の場合キッチンがあっても大家さんが自炊を許可していない物が多くあります。
ですから台湾の人はテイクアウトや配達をフル活用して生活せざるを得ません。
これに関して台北市長は、配達の依頼が増えているので、上手くやれば、こちらの方で経済効果を見込むことが出来るのではないかと記者会見で市民に訴えかける場面がありました。
常に市民に寄りそう市長、素敵ですね。
出勤登園登校はどうなっているの
学校は教育部といって、日本でいうところの文科省が5月19日から全台湾の小学校以上の授業を全面オンライン授業に切り替えるよう命令しました。
人が集まるのを回避する措置だと思われます。
幼稚園も教育部の管轄下ですので、登園させないという方向に決まりました。
ただ小学生と違い、幼児にオンライン授業させるのは難しいと判断したのか、こちらは休園になりましたので、幼稚園側は保護者の方にその分の学費の返金をする事になっているようです。
大学の職員さんや先生方、授業はありませんが母校の幼稚園の先生方も輪番で出勤しています。
会社勤めの台湾人の方に出勤状況を尋ねましたら、こちらもやはり輪番出勤しています。
通勤はどうしているのかと尋ねると、職場が近い人はこれまで通り徒歩。
大学の先生だとマイカー通勤も多いので、こちらも特に問題はなさそうです。
可哀想なのは、バイクは乗れるけど台北の交通事情を考えて怖いからバイク移動は辞めていた人達が、公共交通機関の利用を辞めてバイク通勤に切り替えたケースです。
バイクにも乗れるし車も運転できるという人も多いですが、台北市内のオフィス勤務の場合、東京と同じように車の駐車場代は高いのです。
ですから考慮した結果、バイク通勤という選択になったようです。
公共交通機関よりバイクの方が知らない人と同じ空間にならなくて良いという意味での心理的安心感はありますが、個々人の交通マナーの問題もありますし、台湾はスコールがありますし。
暑い期間も長いので、バイク通勤には日本とはまた違う過酷さがあります。
そうかと思えば、会社によっては100%在宅に切り替えた所もあるそうです。
飲食や公共交通機関、医療従事者の方がお休みになってしまうと我々は生活出来ませんので、その方たちは通常通り、医療従事者の方に限ってはそれ以上の仕事量となっているのは他の国と同じです。
あなたは新型コロナワクチン接種派反対派?
台湾のワクチン接種状況
私はまったくこの情報知らなかったのですが、なんと日本でいうところの厚生労働省にあたる衛生福利部が、自費でワクチン接種できますよという告知していたのですね。
外国では情報自分で取りに行かないと本当に乗り遅れます。
4月21日から自費でアストラゼネカのワクチン接種できますというもので、対象者は以下の通りでした。
1.ビジネスマン
2.海外で働く、留学する、または治療を受ける者
3.中華民国からの有効な居住許可を保持している外国人
私は3に該当するのでいち早くワクチン接種できる可能性があったのですね。
いまの今まで知りませんでした。
上記の出国する必要がある人は、31ある観光医療設備のあるクリニックに予約し、新型コロナウイルスのワクチン接種専門医からワクチン接種できたのでした。
また自費接種の費用についてですが、
初診料、診察費、注射費等が含まれ、
最高でも600元まで、だいたい550元から500元ぐらいで受けられたようです。
台湾の通貨単位って何種類あるの?
日本からプレゼントしたワクチンはどうなったのか
日本でもワクチン廃棄になったとか残念なニュースを聞きますので、なんとか早く必要な人に使っていただきたい。と、その後が気になっておりました。
前述のとおり台湾 でも4月下旬から希望者にアストラゼネカのワクチン接種が行われていました。
ですが台湾にいる人の数に対して、何しろワクチンの絶対数が足りない。
市中感染がはじまった当初、政府はこの一年間なにをしていたんだ?
なぜ一年も時間があったのに、ワクチンを確保していないの?
CDCはなにやってたの?
などと、(あくまでネット上の匿名で言いたいこと言える場でですが)怒っている人も見かけました。
この一年間なにをされていたのかはチェックしていませんでしたので、私にはわかりませんし、評価も批判もする立場にないのですが、台湾のみなさんが指摘されている通り、ワクチンが足りないのは事実のようです。
そこで記憶も新しい6月4日の午後1時58分ごろ、アストラゼネカ製の新型コロナワクチン124万回分が台湾に到着しました。
台湾でコロナの陽性者が多いのは台北市と新北市です。
台北市と新北市の連日の記者会見で記者は遠慮なく「ロックダウンしないんですか」という質問を浴びせていました。
新北市長は台北市長と相談して決めるとの返事しかせず。
首都を治める市長の苦悩とその決断
その台北市長はある日の会見で明確にこう答えています。
「これがもし一年前だったら他国と同じようにロックダウンするしかなかったでしょう。
だけど今は状況が違うんです。今はワクチンがあります。
いまロックダウンしたら、2週間ぐらいなら市民も
『連休になった~!\(^o^)/ 』
でいいでしょうが、3か月続いたらどうなりますか?
病でなくなる人より、飢え死にする人の方が増えるでしょう。
経済とこの現状を併せて見た場合、ロックダウンするよりも、個々に行動を抑制してもらい、その間にワクチン接種を進めたい。
だけどワクチンがない。
いつ入手できるかもわからない。」
記者から「いつワクチンを接種できるかわからない現状」についてどう思うか意見を求められると、こうも発言していました。
政府はプライドも何も捨てて、数なんか揃わなくても良いから、とにかく少量でも購入できる所から購入して、それをすぐに接種できるように出来ないのかね?!
市長は首都を治めてはいますが、ワクチン購入の権限はないのでしょう、その焦りが記者会見から見て取れ、心が痛みました。
その数日後、日本からワクチンをプレゼントしますよという吉報が台湾を駆け巡りました。
またワクチン接種の副反応に対する不安の声がある事を記者から尋ねられた際には、
ワクチン接種には、デメリットよりもメリットがあります。
特に、新型コロナの高齢者の死亡率は、若者の死亡率よりもはるかに高いのです。
ワクチンに対するアレルギーショックがある人に強制はしません。
また発熱や突然の病気がある場合は、最初にそれを治療し、ワクチン接種を延期できますが、その他の人にはワクチン接種をお薦めします。
医学博士として、また台北市長として、ご自身の見解を発言されています。
高齢者の重症化に関してメリットとデメリットを考慮しての発言と私は受け取りました。