頂溪~台北のお隣りデパート以外何でもある食い倒れの街

台北ぶらりMRTの旅
世界豆漿大王の外観 Photo byマリアの台湾ダイアリー

 

今回は私がはじめて台湾で部屋を借りて住んだ、台湾でいちばん好きな街、頂溪 dǐng xī (台北MRT番号:O04) と、頂溪満喫のための散策コースをご紹介します。

 

ここの豆漿を食さずして豆漿を語るなかれ

 

台湾に来た人ならみんながいう「台湾の豆漿(豆乳)美味しいよね~」。

 

はいはいはいはい、ちょっと待って下さい。

あなたが今日入ったそのお店の看板、なんて書いてあったか覚えてますか?

 

永和豆漿て、書いてませんでしたか?

 

その永和というのは、地名なんですよ。

 

なんて偉そうにいってますが、実は私も自分が頂溪駅に引っ越す事になって、家の住所がまさに永和だったのですが、台湾人のお友達に教えてもらうまで、自分が住んでいる所がまさかの、永和豆漿と関係があるなんて思いもしませんでした。

 

語学学校に行って、毎朝当たり前のように豆漿を買って飲んで、お昼に学校近くの永和豆漿に行ってご飯食べて。と、よく何も考えずに何か月も過ごしたものだと今だからこそ思います。

 

永和豆漿の歴史

 

この永和豆漿というのは、台湾は新北市永和区(中国語では區と表記)の頂溪地域で豆漿を販売していた朝ご飯屋さんを指す店名なんです。

 

創業者として代表的な人物は李雲增さんと、王俊傑さんのお二人。

 

1955年、山東省出身の李雲增さんと河北省出身の王俊傑さんなど、中国大陸の北の方に籍を持つ退役軍人の方々が数百元のお金だけを持ち寄り、部隊の学校内で燒餅油條豆漿を試行錯誤しながら作りました。

 

同郷の人たち数名で、懐かしい故郷の味を求めて作り、いまの中正橋あたりで「東海早點店」という名前で販売し、そのわずかな収入を退役後の生計に充てていたのだそうです。

 

その製法と味に特徴があったのと、中正橋の拡張工事計画の時期も重なり、「東海早點店」の朝ご飯をたくさんの人たちが買いに来るようになりました。

 

でも良い事ばかりではありませんでした。

創業者の方たち数名ではじめましたから、そのうち考え方の相違が出てきてしまって、台北へ行く人も出てきたり、みんなばらばらになってしまいます。

 

けっきょく永和に残ったのは李雲增さん、王俊傑さんなどの数人で、それから店名を世界豆漿大王に変えました。

 

それがいまも頂溪駅近くに残る、世界豆漿大王なのです!

 

【後日談】

創業者の頃は良かったのですが、李雲增さんと王俊傑さんのそれぞれ二代目になってから、経営理念の違いから、いろいろもめる事もあったようです。

法的介入もあり、協議の結果、お店の不動産権利の登記は李家と王家のそれぞれ半分ずつとなりました。が、両家が協議の結果、王家はお店を李雲增さんと李慶餘さんの親子に譲り渡し、事実上経営から退きます。そしてその代わり、李家から毎月店舗の家賃を得る事としました。

 

ということで、今の経営者は李家という事になりますね。

 

最初はいくばくかのお金で生計を立てていた人たちが、お金を持つようになると揉めてしまうんですね。ちょっと残念です。でも、美味しさはきっと変わりませんよね?!

 

ところで永和という地名は出て来たけど、永和豆漿の話ぜんぜん出てきてないじゃない?という疑問はありませんか?

 

これ、私も長いことずーっとひっかかってたんです。

 

みなさんの商魂たくましさに感心するばかりなのですが、なんと、世界豆漿大王が永和の名物になったので、みんなこぞって永和豆漿という看板で商売をはじめたのだそうですよ。

 

またこれがややこしいのですが、1985年に仲介業を営んでいた林炳生さんという方が、永和豆漿の名前で商標登録して通りました。

 

その後、台北市士林区(中国語では區と表記)で「永和豆漿店」を創業、おまけに弘奇食品を作り、機械で豆漿を量産し、濃縮豆漿を朝ご飯屋さん、パン屋さん、学校、スーパーマーケットなどに売りに出したそうです。

 

その息子さんもかなりのやり手で、「永和豆漿」を中国大陸にPRし、上海にお店まで出したのだそうですよ。

 

もう、流石としかいいようがありません。

 

台湾人の朝ご飯の定番メニュー

 

燒餅油條 (shāo bǐng yóu tiáo):揚げパンを薄いパン粉の皮で包んだようなもの。
豆漿 (dòu jiāng):台湾の豆乳。

 

豆漿発祥のお店、世界豆漿大王へ行こう

 

一杯の豆漿の話から、ここまで前置きが長くなるとは私も思っていませんでした。

まだまだいろいろ話題が尽きない世界豆漿大王ではありますが、それだけ有名という事なのでしょう。

 

お店は初代の時に朝ご飯屋さんとしては台湾初となる24時間営業をはじめたのだそうです。時代を先取りしてますよね。それで台湾の人たちは朝ご飯家で作らないし、食べないのでしょうか?

 

お引越ししてしまったので足が遠のき、何年かぶりかで行ったらお店がすっかりきれいになって、自動ドアもついているので、真夏でも店内は涼しく過ごせました。

世界豆漿大王の外観
Photo byマリアの台湾ダイアリー

 

香港映画スターで映画監督のチャウ・シンチーもご来店

 

豆漿発祥の店だけあって、香港やアメリカからもお客様がご来店です。

 

チャウ・シンチー(周星馳 )の他、台湾のパン・マスターと呼ばれている吳寶春、アメリカの作家・司会者・シェフの故アンソニー・ボーデイン(Anthony Michael “Tony” Bourdain)、香港スターの故チョウ・ユンファ(周潤發)、香港で1970年代に誕生し活躍している音楽グループThe Wynners(温拿五虎)のメンバーに現台湾総統の蔡英文氏も来店されてます。

 

前はもっとサイン飾ってあったような気がするのですが、少し整理したのかな?

それでもすごいメンバーですよね。

有名人のサインがたくさん
Photo byマリアの台湾ダイアリー

 

他のお客さんがいない角度を狙って撮影しましたが、24時間営業なので時間によっては人がいっぱいになります。近くい住んでた頃は、23時前に通りかかると、寝る前に軽く食べようとするのか、お店の中はお客さんでいつもにぎわってました。

Photo byマリアの台湾ダイアリー

 

お店の歴史が書いてある看板です。中国語が得意な方は実際に足を運んで全文読んでみてくださいね。

世界豆漿大王の歴史が書いてあります
Photo byマリアの台湾ダイアリー

 

こちらのお店のおすすめメニューですが、台湾人のお友達に連れて行ってもらった時にご馳走になったものを、そっくりそのままご紹介しちゃいます。(なぜなら、それが気に入って、今でも食べているからです。)

 

世界豆漿大王で絶対食べて欲しいおすすめメニュー

 

  • 小籠包

同じお友達に鼎泰豐<ディンタイフォン>も連れて行ってもらったし、そちらの小籠包もご馳走になりました。

 

でも、私は世界豆漿大王の小籠包の方が好きです。

なぜかわかりませんが、ここのが好きです。

 

気取ってなくて良い。

お手頃価格で、じゅうぶん美味しい。

 

お醤油とお酢は各テーブルにありますから、そこのを使ってください。

 

お箸と小皿はレジの右方向の台にありますから、自分で必要分とります。

その近くに刻み生姜がありますので、私はそれと一緒に食べます。

 

  • 鹹豆漿 xián dòu jiāng

これは温かくて、お酢や刻み葱、揚げパンのような油條も入っている豆漿です。

鹹というのはしょっぱいとかそういう意味です。

これ一杯でも小食の女性ならけっこうお腹が満たされます。

 

食欲がない時など、今でもこれが無性に食べたくなるのですが、ここのがいちばん美味しいです。

酸っぱさが足りないと思ったら、テーブルにあるお酢を足して、容器に入った赤い辛い液体もありますので、それを少し足すと、また更に美味しくなります。

 

世界豆漿大王のおすすめメニュー
Photo byマリアの台湾ダイアリー

 

ここから先は個人のお好みでなのですが、先代が工夫して作ったという燒餅油條を食べるのも良いでしょう。

 

蘿蔔絲蛋餅 luó bo sī dàn bǐng という、大根をスライスしたものをオムレツにした物もこのお店の名物です。

 

そしてお会計を済ませたら豆漿を買って帰って、冷蔵庫で冷やして、朝飲むのも良いですよ。(※購入後は防腐剤など入っていないので、すぐに冷蔵庫に入れるか飲んでください。)

 

日本語のメニューがありますし、どの値段も安いので安心して注文してくださいね。

 

店舗情報

店名:世界豆漿大王
住所:234新北市永和區永和路二段284號
24 小時營業
日本語メニューあり
お店の外にテイクアウト専用カウンターもあります。

頂溪駅2番出口を出たら道路を渡り中正橋の方向へ210m

 

散策コースは次回へつづきます。

 

 

 

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